日本は物価高で生活が豊かになるか?

日本銀行は、年2~4%のインフレ(物価高)になるように、緩和の実施を長らく行ってきました。
物価上昇のきっかけは戦争によるエネルギーの高騰でありましたが、4,5,6月の消費者物価指数が2%超えてきて、ようやく目標達成に近づいたと言えるでしょう。
テレビや一部の新聞では、物価上昇は悪で、原因は円安だと訴えていますが、そうなのでしょうか?
日本銀行、しいては日本政府が年2~4%のインフレ(物価高)を目指してきたことは、間違いでしょうか?
そして、アメリカやヨーロッパが行っているように日本も金利を上昇させるのが正しいことでしょうか?
筆者は、今回こそ物価上昇を伴う景気拡大になると期待しています。
よって、
・物価高 〇
・円安 〇
・金利上昇 ×
というスタンスです。
アメリカの物価上昇率は9%超
アメリカの物価上昇率は9%を超えています。

アメリカのFRB(アメリカの日本銀行にあたる)は、日本銀行と同様、年2~4%のインフレ(物価高)が望ましいと考えています。
金利を上げて物価の上昇を下げようとしているのは、4%を超える急激な上昇だからです。
その証拠に、長期の物価上昇率を見ると2020年までは2~4%に収まっています。
この時、FRBは金利を上げず、(望ましいので)静観していました。

日本は、ようやく2%にタッチしたばかりですので、物価高を抑える(日本銀行の)動きにはならないでしょう。
円安というより、ドル高になっている
空前の円安と言われていますが、ヨーロッパでは、空前のユーロ安と言われています。
円が安いというより、ドル1強といった状態です。
かつて市場介入で円高や円安を調整した歴史がありますが、現在においては
・日本の物価高は、アメリカに比べてまだ序の口
・日本の輸出企業は、円安効果で最高益続出
なので、しばらく放置されるでしょう。


円安で日本の企業の収益はどうなったか
円安効果で企業の収益が上昇している実態があります。
国内企業が円安などを背景に利益をふくらませている。上場企業全体の2022年3月期決算の推計によると、最終的なもうけを示す純利益は前年比35・6%増の33・5兆円となり、過去最高を更新する見通しだ。
朝日新聞 2022年5月13日
トータルで見た日本経済は、円高よりも円安の方が恩恵を受けられるようです。
一方、輸入において円安は不利になりますが、対策として「値上げ」を実施して対応しています。
帝国データバンクが実施した2022年5月の景気動向調査によると、企業の「販売単価DI」が7か月連続で過去最高を更新するなど、販売価格や取引価格への転嫁の勢いが増している。
TDB 景気動向調査(全国)― 2022 年 5 月調査 ― 6ページ
粛々と値上げの要請と交渉を行なって、利益確保をめざしていることが伺える内容です。
賃金の上昇は起こるか
賃金の上昇が伴えば、おそらく物価高は容認されるでしょう。
直近のアルバイトの時給が、過去最高を超えた報道がされています。
アルバイトの需要が回復している。リクルートが14日発表した三大都市圏(首都圏、東海、関西)の5月のアルバイト・パート募集時平均時給は前年同月比31円(2.8%)高い1123円だった。5カ月ぶりに過去最高を更新した。
日本経済新聞 2022年6月15日
賃金は、変動させやすいアルバイト、パートから変化し始めます。
この変動が、正社員まで波及することを期待したいです。
物価高2%に対して、賃金が2.8%上昇するなら生活がすこし楽になります。
もし、ここで日本も金利が上昇したらどうなるか?
多くの企業は、お金を借りて運営されていますので、金利の負担が増します。
負担が増せば、賃金の上昇は行わず、現状維持を決め込むことでしょう。
そうすると物価高で物が買えなくなって、経済は悪化の一途をたどることでしょう。
自分で判断することの大事さ
日本は長らく物価上昇が極端に低い国でした。
このことで、「物の価格は一定であるべき」ということが常識になりました。
他の国では、物の価格は常に上昇します。そして、給与も上昇します。
これが常識です。
かつて東京は、世界一物価が高くて(外国人にとって)住みにくい街と言われました。
いまは、最もコスパのよい街(価格に対して良いサービスが受けられる)と認識されています。
善し悪しがあるのでどちらかが良いという事ではありません。
言いたいことは、日本と他国と状況があまりにも違うので、他国の真似をすると大変なことが起こる可能性があります。
物価高は良いのか悪いのか、円安は良いのか悪いのか、金利上昇は良いのか悪いのか、自身で判断されることをお勧めします。
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節約術や市場急落時にメンタルの支えになる情報を発信しています。|50代メーカー勤務、研究開発に従事中。|2004年に投資開始、個別株,信用取引⇒FX⇒リーマン遭遇⇒米国株ETF⇒現在S&P500投資信託eMAXIS Slimをほったらかしで運用中。
千葉県在住。
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