インフレが続くとどうなるのか

インフレがしばらく続くといわれていますが、何がどうなるのか含めて筆者の考えをまとめてみました。
発端は、FRB議長の発言と思われます。10月23日の日本経済新聞の記事を見てみましょう。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は22日、オンラインでの討論会で「供給制約と高インフレは従来の予想より長引く可能性が高く、2022年にかけて続くだろう」と語った。「インフレのリスクがある」と警戒感を示し、人々の将来の物価予想であるインフレ期待の動向を注視する考えを強調した。
日本経済新聞 2021年10月23日
筆者は、しばらくインフレが続いても、当面(半年程度)、私たちの生活はさほど変化しないと考えています。
それは、コロナ禍による、お金を極力使わないライフスタイルが一定数の間で定着し、経済の縮小がすでに起きているからです。当面、この状態が継続するのだと思います。
インフレは物の価格が上がること
インフレとは、普段買っている食料や日用品、サービスの価格が上がることをいいます。
逆に、物の価格が上がるということは、お金の価値が下がったと見ることも出来ます。
例えば、それまで120円で買っていたおにぎりが150円に値上げしたとします。
これは、同じおにぎりが以前より30円余計に必要になったわけですから、お金の価値が減ったことになります。
ゆっくりインフレが進むとどうなるのか
物の値段が上がると言うと良くないことの様に思えますが、ゆっくり上がる分には必ずしもそうではありません。
ゆっくりとしたインフレ(2%程度)では、
①価格の上昇で会社が儲けが増える
②儲けたので働く人の給料が増える
③給料が増えたのでより多くの商品を買う
④商品が良く売れたので会社が儲かる
…というサイクルで景気が良くなります。
景気が良くなるインフレのことを「ディマンド・プル・インフレ」と呼んでいます。
しかし、今起きているインフレは、これではない感じです。
米国のインフレ率の推移
以下のグラフは米国の過去のインフレ率の推移を表したものです。


参照元:https://jp.tradingeconomics.com/united-states/inflation-cpi
米国の過去においては20%ものインフレがありましたが、近年(1985年以降)では概ね5%以内に収まっています。(上の折れ線グラフを参照)
しかし、直近のインフレ率は、今年の2月から上昇を続け、9月は5.4%と比較的高い数値を示しています。(下の棒グラフを参照)
そして以前(1985年より前)と違うこと、それはインターネットの普及よって様々な金融取引が素早く行われるようになっていることです。
AIを使った自動取引が個人レベルでも頻繁に行われるようにもなりました。
その様な状況下で5%超のインフレ率となるのは歴史上初めてのことです。
どのようなことが起きるのか。見通しがつかないことを「一寸先は闇」と言います。
でも、何も起こらないかもしれません。筆者はそうなるような気がしています。
理由は、すでに経済、購買行動が縮小していて当面のインフレ、物価高には反応しないと思うからです。
これから何が起きるのか
現在、起きている事実として半導体など一部の物の供給が停滞しています。
これによって以下のサイクルが発生する恐れがあります。
①物の供給不足で価格が上がり、ものづくりに余計にお金がかかる。
②お金がかかったので、値段を上げて売るけど売れない。
③物が売れなくなるので会社は儲からない。
④会社が儲からないので、給料が上がらない。
⑤給料が上がらないので、ますます買い控えをする。
…というサイクルで景気が悪くなります。
景気が良くなるインフレと区別するため、「コスト・プッシュ・インフレ」と呼ばれています。
根本原因の一つとして、アジア圏の工場がコロナで操業停止し、材料や部品の供給不足が発生していることです。
これら工場の操業開始が一つのキーになると思っています。
お金を使わない社会に進む可能性
余暇になるだけお金をかけず、自宅で過ごすスタイルがコロナ禍で生まれました。
外出できないから結果的にお金を使わないことになったわけですが、このスタイルが一定数の人たちに定着するのだと思います。
・旅行をせずに、本や映画やゲームなどの作られた世界に浸る。
・外食せずに、食材を安くネットで購入し、自宅で調理し楽しむ。
・遠出をせずに近くの公園、近くのキャンプ場で過ごす。
今後もコロナ流行抑制のため、かつてほどの自由な外出はできないだろうと思います。
ここに、インフレが重なり物価の上昇と物品の供給不足となれば、目先は消費が落ち込んだままでしょう。
一方でワクチンと補助金に下支えされた経済が底堅く推移し、人々の生活が徐々に回復するとも思っています。
余ったお金は価値が下がらないよう投資しますか
物価が高くなるということは、手元の現金・貯金の価値が下がっていることと同義です。
将来、同じものが同じ金額で買えなくなるのです。
そうすると、現金・貯金の価値が目減りしないよう防衛する必要が出てきます。
その具体的な方法とは、現金を物品に変えておいて、現金が必要になったら物品を売るということです。
インフレでは、物品の値段は上がるわけですから、買った時よりも高く売ることが出来るでしょう。
でも、すぐに売れなければ大変不便です。ここで換金しやすい”物品”とは何かというと、株式や”金”となります。
そして、これらは物品と同様、インフレとともに値上がりする傾向があります。
まとめ
・穏やかなインフレは生活向上を伴い、経済も活性化する。
・急激なインフレは一時的に需給を変動させて買い控え、もしくは供給不足が発生する。
・いまのインフレは、上記の現象が同時に起きているとも考えられる。
・かつての旅行、外食、ショッピングなる余暇の過ごし方から、お金を使わない余暇へ移行する。
・お金の使い方、余暇の過ごし方がコロナ以前のようには戻らない人が一定数現れる。スタイルが変わってしまう。
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節約術や市場急落時にメンタルの支えになる情報を発信しています。|50代メーカー勤務、研究開発に従事中。|2004年に投資開始、個別株,信用取引⇒FX⇒リーマン遭遇⇒米国株ETF⇒現在S&P500投資信託eMAXIS Slimをほったらかしで運用中。
千葉県在住。
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