今のインフレを確認して変化に備える

米国でインフレが顕在化し、追われるようにインフレ対策としての利上げが予定されている今、実際のインフレ率はどのような推移で進んで来ているのか確認してみたいと思います。
直近では、0.5%の利上げと金融緩和のために買い集めた金融資産の売却をFRB内で議論するようです。
アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は今週、金融政策を決める会合を開き、通常の2倍の利上げと、保有する金融資産の圧縮という2つの金融引き締め策を議論します。
NHKニュース 2022年5月2日
先日筆者は、しばらくインフレが続いても、当面(半年程度)、私たち日本の生活はさほど変化しないのではと書きました。
理由として、コロナ禍によるお金を極力使わないライフスタイルが定着し、経済の縮小がすでに起きているからとしました。
その後、直近の2022年5月GWでは、コロナ禍がひと段落して多くの人が消費行動に移っています。経済が回復して需要が旺盛になってくると日本にもインフレの影響が出てくると思います。
インフレは物の価格が上がること
インフレとは、普段買っている食料や日用品、サービスの価格が上がることをいいます。
逆に、物の価格が上がるということは、お金の価値が下がったと見ることも出来ます。
例えば、それまで120円で買っていたおにぎりが150円に値上げしたとします。
これは、同じおにぎりが以前より30円余計に必要になったわけですから、お金の価値が減ったことになります。
米国のインフレ率の推移
以下のグラフは米国の過去のインフレ率の推移を表したものです。


参照元:https://jp.tradingeconomics.com/united-states/inflation-cpi
近年(1985年以降)では概ね5%以内に収まっていました(上の折れ線グラフを参照)が、2021年10月を境にインフレが加速していきました。
大きなインフレに大騒ぎする理由
なぜ、大きなインフレがこんなにも恐れられているのかと言いますと、高い確率で不況になるからです。
適度なインフレであれば、経済は止まらずに価格が上昇していきますので、企業の業績、しいては国の規模(GDP)が上昇してみんなハッピーです。
大きなインフレは、人々の収益が上昇するよりも早くモノの価格が上昇する場面が増え、結果的に物が売れなくなります。
物が売れなくなると、経済が回らなくなり不況と言われるようになります。
FRBは何をしようとしているのか
FRB(連邦準備制度理事会)は、急激なインフレを抑えるために金利を上げようとしています。
金利を上げると通常は経済活動が停滞するようになります。
経済の回転を遅くして、物の値段が上がらないようにしつつ、その隙に給料が上がるように仕向けています。
そんな都合よくコトが進むでしょうか?
まあ、うまくいきませんよね。
よって、不況を見越して株価が下がっていきます。
結局のところ、不況になれば物は売れなくなりますからインフレは収まります。
行きつく所は、「不況になる前にインフレが収まればFRBの勝ち」、「不況になってからインフレが収まるならFRBの負け」って感じです。
日本はインフレになるのか
日本は、1992年からデフレ(消費者物価指数が前年度比2%未満)です。

2014年に一時的に2%を超えましたが翌年から再びデフレに突入しています。
原油価格の高騰や半導体の品不足の影響で物価が上がっているように感じていますが、2022年通年の物価指数が2%を超える様子はまだありません。
5月20日に発表される2022年4月分の物価指数は昨年実施された携帯電話通信料値下げの影響がなくなりますので1%後半の物価指数の上昇が予想されています。
日銀は物価指数が2%以上で安定することを目標に掲げており、これを達成するまで金融緩和を続けるでしょう。日銀参考資料:「金融政策運営の枠組みのもとでの『物価安定の目標』について」 [PDF 133KB](2013年1月22日公表)
これらの状況から言えることは、徐々に物価指数は上昇しているが、インフレが行き過ぎていて(日本の)金利を上げてインフレを抑え込むような状況には程遠いようです。いましばらくデフレが続くのかなといった感じです。
もしデフレから脱却できるならば日本の成長には期待ができます。企業はお金を貯めていると損しますから投資に回し始めると思います。結果、日本の株価も上昇するでしょう。
お金を使わない生活に変化する社会
世界中において自宅で余暇を過ごすスタイルがコロナ禍で生まれました。
外出できないから結果的にお金を使わずに済むことになったわけですが、このスタイルが定着しつつあると思っています。
・旅行をせずに、本や映画やゲームなどの作られた世界に浸る。
・外食せずに、食材を安くネットで購入し、自宅で調理し楽しむ。
・遠出をせずに近くの公園、近くのキャンプ場で過ごす。
一方でコロナ禍を克服できれば、従来どおり海外旅行に出かける人々もいるでしょう。
ですが、ウクライナでの戦争をきっかけに安全保障体制に変化が生じ、国家間の自由な往来が制限される可能性が出てきました。
かつてほどの自由な観光はできないだろうと思います。そして自由な貿易も安全保障の観点から制限される恐れがあります。
安全保障の変化による物品の供給不足となれば、インフレを抑え込むことは困難になります。
インフレが引き起こす貨幣価値の下落とは
物価が高くなるということは、手元の現金・貯金の価値が下がっていることと同義です。
将来、同じものが同じ金額で買えなくなるのです。
そうすると、現金・貯金の価値が目減りしないよう防衛する必要が出てきます。
その具体的な方法とは、現金を物品に変えておいて、現金が必要になったら物品を売るということです。
インフレでは、物品の値段は上がるわけですから、買った時よりも高く売ることが出来るでしょう。
でも、すぐに売れなければ大変不便です。ここで換金しやすい”物品”とは何かというと、株式や”金”となります。
そして、これらは物品と同様、インフレとともに値上がりする傾向があります。
株価が下がる中、投資しますか?
インフレ対策で金利が上昇し、株価がさえない状況下で株式を購入することは矛盾しているように思えます。
今後起こることは、次の二者択一です。
①インフレを克服して株価が上がる。
②インフレ撲滅に時間がかかり株価が下がる。
どちらにせよ、インフレは収まるわけですが、時間が勝負の分かれ目です。
コロナ禍、ウクライナの戦争はインフレの行く先に影響を与えるでしょうが、株価に直接影響を与えるのは金利です。
金利上昇がいつまで続くかわからないから、不透明感で株価は下がります。
株価が上がり始めるのは、FRBによる金利上昇がインフレ収束に効果を示し始めたときです。
効果が出る前に金利上昇で不況になれば、株価は低迷を続けるでしょう。
直近は株価が低迷する可能性が高いですが、ゆくゆく(来年、もしくは15年後かも)株価が上昇することは間違いないので筆者は毎月の積立て投資を続けます。
まとめ
・穏やかなインフレは生活向上を伴い、経済も活性化する。
・8%を超える急激なインフレは不況を招き株価が低迷する恐れがある。
・インフレ撲滅のために金利を使ってインフレを調整しようとしている。
・インフレ調整がうまくいくかどうかはわからない。
・調整が失敗して目先、株価低迷が起きても長い期間で考えれば株価は戻り、上昇を続けていく。
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節約術や市場急落時にメンタルの支えになる情報を発信しています。|50代メーカー勤務、研究開発に従事中。|2004年に投資開始、個別株,信用取引⇒FX⇒リーマン遭遇⇒米国株ETF⇒現在S&P500投資信託eMAXIS Slimをほったらかしで運用中。
千葉県在住。
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