つみたてNISAの仕組み、一般NISAとの違い

2018年から始まったまだ新しい仕組みのつみたてNISAは、どんなメリットがあるのか、どんなことに注意が必要なのかまとめてみました。
通常の売買をおさらい
通常の株や投資信託を売買したとき、儲けが出た場合は、儲けた分のおよそ20%を税金として納めなくてはなりません。
納める方法は、売却時に証券会社が代行徴収してくれる「特定口座-源泉あり」と年末調整時に税務署へ一括支払う「特定口座-源泉なし」があります。「一般口座」という選択肢もありますがあまり一般的ではありません。
また、株や投資信託を買うときに「特定」と「一般」のどちらか一方を選ぶことが出来ますが、特定口座を使っている場合は、「特定」を選んでおくのが良いでしょう。特定口座であっても一般口座の扱いで購入することが出来るため、ここに選択枝があるだけです。
つみたてNISAは儲けた分の税金が非課税になる
通常、儲けの20%の税金を納めなくてはならないところ、これがゼロになるというのだから効果は絶大です。やらない手はないですが、様々な制約があります。
年間の購入枠が40万円まで
その年の1月1日~12月31日間に新たに購入できる金額が40万円までです。この枠で買った株を売却したとしてもこの枠は戻りません。
購入は積立のみ可能です
定期的に購入しなくてはなりません。毎日、毎週、毎月などに設定を行い、繰り返し、購入することが必要です。
非課税期間は20年間、途中の売却が可能です
積み立てた株や投資信託の儲けにかかる税金は、購入した年から20年間非課税となります。もちろん20年経たずに売却することが可能で、その場合でも儲け分の税金は非課税です。また、20年経ったら売却が必須なわけでなく、通常の口座(特定口座 or 一般口座)に移されます。移された後の儲けには税金がかかりますが、移された時点での利益には20年以降も税金がかかることはありません。
移された時点で儲けが出ていればよいですが、仮に20万円損をしていた場合、そしてその後、20万円分値上がりしトータルで取り返したときは注意が必要です。移した時点の評価額が基準となるため、その後の20万円が儲けとなり、20万円×20%=4万円が税金として徴収されます。トータルではゼロのはずが税金がかかってしまうという仕組みです。
20年後、持ち越し制度(ロールオーバー)は無し
通常NISAは、5年後のロールオーバーがあり、最大9年間、非課税で保持可能です。つみたてNISAは、20年後のロールオーバーはありません。
選択できる株、ETF、投資信託が限られる
すべての株、ETF、投資信託を選べるわけではありません。選択肢が限られます。米国株のインデックス投資信託は、一部選択可能となっています。
一般NISAとどちらがお得なのか
現在の一般NISAは2023年まで購入可能で、2024年からは制度が変わります。今後もその時折の情勢で制度が変化するものと思われます。現時点で2037年まで制度が維持されるつみたてNISAと正確に比較することは困難です。
つみたてNISAで2021年現在から2037年まで毎年満額積み立てたとすると、680万円の投資が可能です。そして購入から20年は非課税です。仮にその間、毎年2%値上がりを続けたとするシミュレーショングラフは以下の通り。

2037年に投資した40万円の非課税枠が終了する2056年には、全体で330万円もの非課税な儲けとなりました。また、2021年に投資した40万円は、2040年に19万円強の非課税な儲けを生み、その後、(継続的に)2056年までに22万円強の課税される儲けを生みます。
課税される儲けのトータルは179万円であり、税率20%を差し引くと143万円が残ります。先の非課税分330万円と合わせると、473万円の儲けとなります。この計算の前提は、投資した株価等が毎年2%値上がりするというもので、仮に日経平均株価に当てはめると、現在のおよそ3万円の株価が、(2056年には)6万円に上昇していることになります。
日経平均株価が6万円!? そんなことあり得ないと思うなかれ、日本ではなく米国株ですが、S&P500指数の35年前(1986年年初)の値は、211ポイントでした。現在のS&P500指数は4,000ですので、およそ19倍です。日経平均株価が6万円になるには、今の3万円の2倍ですから容易い?ものです。※筆者の妄言ですので信じてはいけません。
このように捕らぬ狸の皮算用ではありますが、制度の存続が2037年までと決められていますので、このようなシミュレーションができるつみたてNISAを筆者はおすすめしたいと思います。
まとめ
- 儲けにかかる税金が非課税ですので、とてもお得な制度です。
- 恩恵を受けるためには制限があります。40万円/年の購入金額制限、周期的な積立での購入が必要です。
- 非課税期間は20年です。20年を超えると通常の口座へ移されます。(売却されるわけではない)
- 一般NISAとの比較は、制度の維持年数があまりに違うため、判断が難しいです。
- 長期投資であれば、先を見通すことの出来るつみたてNISAがおすすめ。
おまけ
もし、毎年5%の値上がりが続いたらどうなるのでしょうか。その場合、日経平均株価は16万5,000円辺りまで上昇しています。もっとも、その時は物価も数倍になっているのでしょうけどね。

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節約術や市場急落時にメンタルの支えになる情報を発信しています。|50代メーカー勤務、研究開発に従事中。|2004年に投資開始、個別株,信用取引⇒FX⇒リーマン遭遇⇒米国株ETF⇒現在S&P500投資信託eMAXIS Slimをほったらかしで運用中。
千葉県在住。
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