インフレが続くと増税になる

目先の物価高が続くとだんだん生活が苦しくなるといった話ではなくて、物価高と共に所得も高くなると自動的に増税になるという話です。
最後までお付き合い頂くと、どういう仕組みで増税になるのかを理解することができます。
アメリカでは物価高に合わせて給料も上昇している
アメリカでは8%を超える物価高にみまわれているといった報道が日本でなされています。
アメリカ 4月消費者物価指数 伸び率は縮小も依然記録的高さ(NHKニュース)
一方で、実は労働の対価である給与も上昇しているのです。
PayScaleの調査では、44%の組織が3%以上の賃上げを計画していると回答し、これは過去6年間と比べて高い水準だ。雇用主は優秀な人材を引き付け、引き止めようと、これまでよりも大幅な賃金アップを提示する傾向があるようだ。
「fabcross for エンジニア」から引用
一部の地域ではランチを食べるのに2500円かかるが、バイトの時給が3800円だから生活は維持できていると言われています。
「去年までは外でランチを食べてもせいぜい10ドル(約1300円)程度だったのに、今では毎日15ドル(約1900円)くらい。チップを入れると20ドル(約2500円)になることも」(LA在住、ジェームズさん、50代男性)
物価は上がっているけど、マクドナルドなどのファストフード店でも時給14ドル(約1760円)くらいだし、場所によってはチップ込みで時給30ドル(約3780円)くらいもらえるので、どうにかなっているんだと思います」(アリゾナ在住、ケーンさん、30代男性)
「シュウプレ☆ニュース」から引用
アメリカは恒常的に物価の上昇が続く
アメリカのインフレ率の推移です。

アメリカは、毎年2~4%の率で物価と給料が上昇することを良しとしている国です。
欧州など先進国も、ほぼ同様な考えを持っています。
日本も年2%の安定的な物価高を目指しています。
2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」 日本銀行
物価高騰により、上昇しない所得では生活が苦しくなるため、より高い給料の仕事に移る気持ちが起こり、これが人材の流動を生みます。
人材の流動により、給料に不満がある人は出て行ってしまいます。
経営者は、働き手の給料を上げざるを得なくなり、社会全体の給料が上昇します。
インフレが続くと増税に?
税金の一つとして所得税があります
所得税は累進課税となっていて、日本では5%から45%となっています。
所得が低ければ、5%となりますが、高ければ税率が上がっていく仕組みです。
所得税の速算表
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得と税引き後の関係

仮にインフレが進み、物価上昇で物の値段が2倍になったとしましょう。
従業員の生活を維持するため企業は昇給します。昇給しない企業の従業員はより待遇のよい企業に転職します。結果、平均給与が2倍になったとします。
所得が500万円だった人は、1000万円になりました。
しかし、100円で購入出来たものが200円になっていますから生活感は変化しません…
いいえ、所得が1000万になったことで税率が20%から33%に上昇しているため、生活は苦しくなっています。
税金の上昇分を加味すると、所得は1144万円にならないと同じ生活(購買力)となりません。
政府が増税などしなくても、自動的に税収は増えるのです。
アメリカは減税し還元する
アメリカは常にインフレの状態であり、人材の流動性が高いので、見た目の所得が増え続けます。
そして、アメリカも所得税は累進課税方式です。
アメリカ政府は自動的にアップした税率を、要所(経済の不安定など)で下げて「減税」を行います。
カンザス州では、民主党の知事が食品関連の売上税を軽減。ニューメキシコ州の議会は4月、ガソリン価格の高騰に苦しむ家庭のために1000ドルの税還付を承認した。今年は、アイオワやインディアナ、アイダホの各州も所得税の税率を下げている。
東洋経済から引用
まとめ
・税金が累進課税の場合、所得が2倍になると、より高い率の税金を支払わなくてはならない。
・物価が2倍になり、所得が2倍になっても、支払う税金が増えれば生活は苦しくなる。
・インフレ下では、政府は増税をしなくても税収が増え、それはインフレ率よりも高い上昇率となる。
例) | 給与 | 所得税 |
インフレ前 | 500万円 | 914,500円 |
インフレ後 | 1000万円 | 2,793,120円 |
上昇率 | 100% | 205% |
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