ビックマックの価格から各国の物価を比較

2021/04/09

ビックマック指数は、イギリスの経済専門誌『エコノミスト』によって1986年9月に考案されて以来、同誌で毎年報告されています。ファーストフード店のマクドナルドの商品、ビッグマックが世界中で販売されていることを利用し、その価格を比較することでその国の購買力を測ろうとする経済指標です。

ビックマック指数を日本円に換算して比較してみた

データーは、こちらから頂きました。エコノミストThe Big Mac index

米ドルでの表記でしたので、その時折の為替レートで日本円に換算してグラフ化しました。

米国、欧州と日本を比較

米国、欧州と日本のグラフになります。2012年以降、米国と英国の価格が急激に高くなっていったように見えます。

米国は、2012年頃から経済が復調し、現在も経済の回復を重視していて好調が続いています。

スウェーデンとスイスは総じて高い価格になっています。生産効率が高い国としても知られていて、賃金が高いからなのでしょう。

英国は2016年からは、米国とは異なって低迷しています。EU離脱が関係しているのでしょうか。

中国、香港、台湾、インド、韓国と日本を比較

中国、香港、台湾ともに日本より低い価格になっています。爆買いを見るに購買力が低いとは感じませんが、生産効率の低さが賃金の上昇の書き差を生んでいるのでしょうか。

2021年、香港だけが急激に高くなっていますが、法律改正の影響でしょう。

インドは5年ほど中国に遅れて追従している感じです。

韓国は日本よりも高い価格になっていますが近年下落傾向です。直近の先行き不透明感が数値となって出ているのかもしれません。

東南アジアの国々と日本を比較

シンガポール、タイが日本より高い価格になっています。2012年あたりから急激に上昇しています。米国と連動して経済成長が続いているためと思われます。

(日本は)フィリピンにも一時期、抜かれていたようです。2014年からはベトナムの値も加わり、東南アジアの経済成長が著しいことがうかがえます。

そして、これらの国は人口も増加傾向です。かつて日本が人口増加に伴って欧州を追い越していったように、東南アジアが日本を追い越していくのでしょうか。

長年、日本はインフレが起きていない

これらのグラフを見て感じたことがあります。どの国も長期でみると価格は上昇傾向にあります。

一方の日本はというと、かつて370円でスタートして、現在390円です。

ビックマック以外にも寿司やおにぎり、総菜パン、ラーメン、うどん、そば、アイスクリーム、タイ焼き、デリバリーピザなどファストフードがたくさんあり、競争しているから思い通りに値上げが出来ないのでしょうか?

それとも、社会全体の停滞感から経済全体の底上げが出来ていないからなのでしょうか?

近年、日本はインフレ2%を目指し、経済成長につなげていきたい考えですが、なかなか実現できていないです。

日本は社会全体の総生産(GDP)が上昇していない国

参照元:IMF – World Economic Outlook Databases (2021年10月版)

グラフは、日本と米国の国内総生産(GDP)の推移です。米国は、米国のビックマック価格が上昇していることと同じ様にGDPも上昇を続けています。

一方、日本では横ばいとなっています。

社会全体で新たなお金を生み出している(新しい価値を生み出している)米国は、徐々に社会全体が持っているお金が増えていきます。

ゆえに、ビックマックの価格を上げても商売として成立します。そして、他のファストフードも同様に値上げをしています。

米国でそばやうどんが高価なのは、日本食というブランドの影響もありますが、そもそもみんながお金を持っているからという理由の方がしっくりきます。

日本のビックマックの値段が上がらないのは、日本が新しい価値を生み出していない証左ともいえるわけです。

50代以上の人は貯金に呪縛されている

いまの50代以上の方々は、親からお小遣いやお年玉をもらった時、「貯金しなさい」と言われて育ったと思います。あれは、国の政策で、戦後の復興のために資金を集めるのが目的とされています。

「貯金は正義」と触れ回ったわけです。

いまの日本はお金が無くても最低限生活できるセーフティーネットがあります。2年ほどの生活ができる貯金があれば、それを超える貯金は必要ないと思われます。

もう一つ「いいものを安く、たくさん」って言葉、常識になっていませんか?

パナソニックの創業者、松下幸之助さんの「水道哲学」が起源です。松下さんがご活躍していた頃は、まだ生活水準が低く、一方で人口は爆発的に増えていた時代です。

いいものを真似してたくさん作るだけで儲かった時代です。今は、いいものばかりが揃っていて、価格勝負の過当競争をしています。

先に示した通り、ビックマックの価格は30年間変わっていません。

「安くたくさん作って、貯金する」から早急に脱却し、「真似できないものを少量(限定)で高く売る」に切り替えていくのが、追いかけてきている東南アジアの国々との差別化なのだと思っています。

雑記帳

Posted by fuminox