バンガードが記す「規律」を読み解く

バンガードの投資成功原則(Vanguard’s Principles for Investing Success)には、4つのルールが記されています。「目標」、「資産配分」、「コスト」いずれも重要な事なのですが、とりわけ実施が難しいのが「規律」です。





バンガードの投資成功原則とは

上記のリンクをたどると、以下のページが表示されます。

「自分がコントロールできることに集中する」とあり、「投資の4つの柱は、投資家に経済的成功の最高のチャンスを与えることを中心とした永続的な哲学を表しています」と記されています。

「View the principle 」とあるリンクをクリックすると32ページの「バンガードの投資成功原則」を読むことが出来ます。ここには、「目標」、「資産配分」、「コスト」、「規律」の4つが重要と記され、詳しく説明されています。

バンガードが記す規律とは

バンガードの「規律」における最初の文を日本語に訳すと以下のようになります。

見通しと長期的規律を維持する

投資における規律とは、投資計画を長期にわたって遵守する能力のことである。投資家が目標を定め、適切な資産配分を選択し、コストを最小化することで計画を立てたら、規律こそが目標達成に近づく助けとなる。

投資は強い感情を呼び起こすため、衝動的な決断につながることがある。たとえば、市場のボラティリティが高いときにパニック売りをするようなことだ。市場の浮き沈みに対する感情的な反応は自然なものであり、ある程度は私たちのコントロール外にある。しかし、私たちがコントロールすべきは、これらの(有害な)感情に基づいて行動するかどうかです。投資家が長期的な視点を身につけ、投資戦略を規律正しく実行できれば、潜在的に有害な感情的な決定(パニック売り)を避けることができます。

筆者が重要と思う部分は、「市場の浮き沈みに対する感情的な反応は自然なものであるが、長期的視点を身につけ(視野をより遠い将来に向け)ることで感情的な決定(パニック売り、狼狽売り)を避けられる」としている点です。

そして、章の最後には以下の様に要約されています。

規律に関する主な要点
1.投資家は、以下のような規律に基づいた長期的視野を保つべきである

  • 目標達成のために定期的に投資を行う。
  • 不安定な時期も投資を継続する。
  • リスクを管理し、適切な資産配分を維持するためにリバランスを行う。
  • 投資ポートフォリオから目標とする支出計画を立てる。

2.投資家はまた、時間の経過とともに、目標に向けた進捗状況を確認し、その目標が適切かつ現実的なものであることを確認し、必要であれば、ここで説明した原則に従って軌道修正すべきである。

ここでは、具体的な行動指針が記されています。以下に筆者なりの解説を試みます。

要点をひとつづつ読み解く

4つの行動指針がありましたので、ひとつずつ読み解いていきます。

目標達成のために定期的な投資を行う

これは文字通り、現金を定期的に投資せよと訴えています。なぜ、そうすることが良いのでしょうか?

  • 複利の力で資産が増えるスピードがあがる。
  • 元本が増えると「値上がり益」がより増える。

単純な理由ですが、目標達成のためにはとても強力な手段です。いまお金が無くても、日々得られる給料の一部や臨時収入を定期的(積極的)に投入することはとても重要です。

不安定な時期も投資を継続する

不安定な時期とは、株価が下がっているときだけではありません。戦争が始まった、災害が起きたといった事や、政治的指導者(大統領など)が交代した、中央銀行(日銀など)の方針が変ったといった事も含みます。

そして、その時に報道(マスコミ)やSNSでは、あまり正確ではない情報やデマが蔓延って投資家を悩ませます。報道(マスコミ)は常にネガティブで、SNSでは新たな(不適切な)投資に乗り換えるよう促してきます。

こういった情報を元にした「短期的な収益」を繰り返し安定的に得ることは、「不可能」と歴史が言っております。こういった情報は「遮断」することがとても効果的に機能します。

リバランスを行う

筆者の資産配分は、株式50%-現金50%です。これは年齢が50代という事が影響しています。もし20~30代ならば、3か月分の生活費以外はすべて株式に投入しているかもしれません。

仮に自分の資産配分を株式80%-現金20%と決定して、これを遵守するとしましょう。株式市場が不調で株価が下がり、比率が株式70%-現金30%となったら、株式が80%になるまで追加購入するという事がリバランスです。

これとは逆に、株式市場が好調で株式90%-現金10%になったら、株式を売却して現金を20%にすることを実施します。これを行う頻度は、年に1回で十分でしょう。年末に行う人が多いと思います。(理由がありますが割愛)

これを行う効果は、世間の噂や市場の好不調に惑わされずに資産を効率的に増やせることです。株価が好調な時は、将来(必ず)起きる株価下落に備えることになり、不調な時は、将来の株価上昇に備えることになるからです。

支出計画を立てる

投資した資産を使う段階で、より多くを現金に換えて利用すると想定より早く無くなってしまったり、目標到達が遅れたりすることがあるので、きちんと支出計画を立てましょうということです。

また、資産形成中であっても、困難な状況による突発的な大きな支出、株価下落による資産減少が発生した場合は、将来の支出計画の見直し(支出額の縮小)が必要になるでしょう。

軌道修正すべき時

要点の最後にこう書かれています。

投資家はまた、時間の経過とともに、目標に向けた進捗状況を確認し、その目標が適切かつ現実的なものであることを確認し、必要であれば、ここで説明した原則に従って軌道修正すべきである。

資産を取り崩している時に大きな株価下落に見舞われると将来計画に狂いが生じます。20~30代であれば取り返すための時間に余裕がありますが、50~60代になると支出計画の変更が必要になったりします。そうならないように、あらかじめ資産配分の見直し(軌道修正)を行うことが必要になります。

具体的には、株式の配分を減らして現金の比率を高めることです。投資効率は下がりますが、リスクは減ります。こういった時間の経過とともに進捗と実現性の確認をし、目標の変更、資産配分の見直し、より安いコストの追求を行うことが必要です。

バンガードとは

そもそもバンガードとは何か? 知らない人も多いと思います。

バンガード・グループ(The Vanguard Group, Inc.)は、アメリカ合衆国の登録投資顧問・資産運用会社。ペンシルベニア州に本社を置く。ブラックロック、ステート・ストリートと並ぶ世界最大規模の資産運用会社であり、世界初のインデックス型投資信託(インデックスファンド)を個人投資家に提供した。

創業者のジョン・ボーグルは、世界初の個人投資家向けのインデックスファンドを設定した人物であり、幅広く投資家に低コストで投資ができる機会を与えた人物としても知られ、「インデックスファンドの父」とも呼ばれている。

wikipediaから引用

要は、

  • アメリカの投資顧問・資産運用会社
  • 世界で初めてインデックスファンドを設定
  • 創始者はジョン・ボーグル

という、企業名です。

冒頭の「バンガードの投資成功原則」は、投資全般に対しても有効ですが、インデックスファンドにおいて、より有効な原則と言えると思います。

おススメ書籍

株式が投資の中で最も効率が良いことを表したグラフです。

株と債券の比較

解説は下の本で記されています。


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