電気代の納得できる節約方法
節約するためにかかるお金 > 節約によって得られるお金
節約するときに、このような状態になることが分かっているならば、この節約案を実行してはいけません。節約にならないからです。
便利になって得られる価値 > 価値を上げるためにかかるお金
一方で、生活品質が上がるならば、かかる備品代や電気代が上昇しても実行したほうが良い場合があります。
以下に例を用意しました。損か得かを確認し納得するための方法を見てみましょう。
スイッチ付きコンセントを使う
電化製品は、コンセントにプラグを差すだけで電気をわずかに消費します。
この電力のことを待機電力と呼びます。
テレビなどでは、待機電力はもったいないから「使い終わったらプラグを抜きましょう」と推奨しています。
都度、プラグを抜き差しすることは面倒なのでON/OFFスイッチ付きコンセントを購入して使おうと考えた方もいらっしゃると思います。
これは、本当に効果的なのかを検証してみましょう。
このコンセントは、350円程度で販売していますが、はたしてこれを購入して使うことは電気代の節約になるのでしょうか?
答え:なりません。
待機電力にかかるお金を計算する
近年販売されている洗濯機や電子レンジの待機電力は1時間で0.1W程です。
電気代は、1kWでだいたい25円です。1kWは1000Wですので、1Wの料金は0.025円です。
掛け算をして計算します。
洗濯機や電子レンジの1時間あたりの待機電力代は、0.025円×0.1W=0.0025円です。
ごくわずかな金額ですね。
350円のON/OFF付コンセントは何年で元が取れるのか
350円を0.0025円で割り算します。そうすると元が取れるまでの時間が計算できます。
350円÷0.0025円=140,000時間≒16年
16年経ってようやく元が取れます。
素直にこの節約方法は、あきらめたほうが良いようです。
このように、道具を使って節電する場合は、その道具の価格次第で全く得にならないことが発生します。
ちなみに、エアコンや炊飯器にも待機電力はかかります。
これらの機器には時計が組み込まれていて、プラグを抜くと時計がリセットされてしまう場合があります。
こういった面倒が発生する機器の待機電力についてもあきらめることが肝心です。おそらく長続きしませんから。
蛍光灯電球をLED電球にする
電気代の節約といえば「LED電球に交換!!」と宣伝されています。
たしかに、白熱球からの切り替えならば効果が大きいです。しかし電球型蛍光灯との比較でなら、1年間でどの程度の節約になるのでしょうか?
答え:年間274円です。
ダイソー製品は、他メーカーの高額なLED電球と比べて演色性…”物体を照らしたとき、その物体の色の見え方に及ぼす光源の性質”は劣るといわれていますが、階段や物置であれば問題は無いと思われます。
うまく使い分けしましょう。
1年間の節約額を計算する
<電球型蛍光灯>
消費電力は1時間当たり13Wです。
電気代に換算すると、13W × 0.025円 = 0.325円/時です。
電球は夜に使うので1日当たりの使用時間を6時間として計算すると、
6時間 × 0.325円/時 = 1.95円/1日です。
<LED電球>
消費電力は1時間当たり8Wです。
電気代に換算すると、8W × 0.025円 = 0.2円/時です。
1日当たりの使用時間を6時間として計算すると、
6時間 × 0.2円/時 = 1.2円/1日です。
<電球型蛍光灯⇒LED電球にする>
1.95円 – 1.2円=0.75円
1日あたり0.75円得することが分かりました。
1年間では、0.75円×365日=274円
節約の投資対効果
現在のLED電球60W相当品の販売価格は、400円(ダイソー)です。以前は3,000円くらいしていましたから、ずいぶん安くなりました。
LED電球へ交換をして、得になるのはいつからか?
答え:1年半後から
計算は、以下の通りです。
1日あたり特になるのは、0.75円なので、400円のLED電球の元を取るためには、
400円/0.75円≒533日(1年半)
元が取れるのは1年半後です。そこから先が利益(節約)になります。
とはいえ、節約額は年間300円程度です。
今使っている電球型蛍光灯が切れてしまってからLED電球に替える感じで良いでしょう。
人感センサー付きLED電球を使う
トイレの照明を人感センサー付きLED電球に交換した場合は、どうでしょう。
トイレの電灯の消し忘れは明らかに電気の無駄です。
では、どのくらいの電気代が無駄になっているのでしょうか?
答え:1年間で219円です。
消し忘れによる電気代の無駄
1日1回、家族の誰かが3時間、消し忘れたとしましょう。
LED電球60W相当品 1時間当たりの消費電力は 8Wです。
3時間消し忘れたときの電気代は、0.025円 × 8W × 3時間 = 0.6円です。
1年間では、0.6円 × 365日 = 219円になります。
人感センサー付きLED電球とは
周囲が暗い状態で人が近づいてきた時だけ、光を発する機能を備えたLED電球です。
価格は2,000円程度ですので、電気代だけで回収しようとすると9年かかる計算になります。
2,000円 ÷ 219円 ≒ 9年
少々、回収期間が長い感じがしますね。
あきらめて消し忘れが発生しても放置していた方が良いのでしょうか。
でも、この電球は自動でスイッチを切り替えてくれて便利です。
合理的な判断で採用するには、どうすれば良いでしょうか。
「便利」はいくらになる?
スイッチに触れずとも自動で点灯、消灯してくれる「便利」をお金に換算するといくらになるでしょうか。
これは、「スイッチを代理で押してくれる人がいたら、その人にいくら支払うか」と考えればいいのです。
100円では高すぎますね。1円ならどうでしょう。
仮に1円として、この「便利」の値段を計算してみます。
家族が4人いるとして、一人1日に7回トイレに行くとします。
1日あたりの「便利」の値段は、4人×7回×1円 = 28円 です。
1年間では、10,220円にもなります。
「便利」機能をお金にする手法
今までの例では、単に電気代が少なくなるという機能のみでした。
今回の例では、電気代が少なくなる上に、スイッチに触って操作する必要が無くなるという「便利」機能が付いています。
さらにスイッチに触らなくなると、スイッチ本体の拭き掃除もいらなくなるという機能もあります。
これら機能をお金といういわば、共通言語に換算して比較するという手法は広くビジネスではよく使われています。
機能とお金を比較する手順
新しい案には機能の向上がある
⇒ 他人に頼んだらいくら支払う?
⇒ お金に換算
⇒ 購入する道具の値段と比較する
⇒ 得になるなら採用!!
ぜひ、活用してみてください。
まとめ
- 世間で言われている色々な節約方法は、条件がそろわないと効果が出ない場合があります。
- 効果があるかどうかは、条件をそろえて計算することで、合理的に判断することが出来ます。
- 節約は、「お金が減らない」だけでなく、「生活が便利になる」ということも取り入れましょう。
- 「便利」機能をお金に換算し、かかる費用と比較することで、合理的な判断が出来ます。