S&P500とオルカン どっちを選べばよい?
長期投資を目指していて、迷うことの一つに「米国株(SP500)に投資する」か、「オールカントリー(通称オルカン)に投資する」を決められないことです。筆者は、米国株SP500に連動する投資信託を毎月積立しておりますが、オルカンへの乗り換えを検討したことも一度や二度ではありません。
ではなぜ、米国株S&P500を選んだのか?といったところを少し書き記してみました。皆さまのご参考になれば幸いです。
なぜ米国株式を選ぶのか?
簡潔にまとめますと、以下の理由です。
- すでに日本株(TOPIXに連動する投資信託)を所有している。
- オルカンに含まれる投資先の情報が得にくい。
- 中国は成熟期に至っている
- 戦争のリスクが高まっている
詳しく述べる前に、S&P500とオルカンの違いをおさらいしてみます。
連動する指数はS&P500とACWI
ここでは、インデックスに連動する投資信託における比較になります。
迷うのは、連動するインデックス(指数)が「S&P500」なのか「ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」かという違いだけです。
それでは、相違点を見出していきましょう。
米国株(SP500)の指数
筆者が積立投資しているものは、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」です。名称が示す通り、S&P500の指数に連動します。
S&P500指数
wikipedia
ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQに上場している企業の中から代表的な500社を選出し、その銘柄の株価を基に算出される、時価総額加重平均型株価指数である。
S&P500は、アップルやグーグルなどを含めた米国の業績の良い企業500社を平均した指数です。もし、業績が悪くなったりすると、他の良い業績を上げている企業と入れ替えを行います。
つまり、自動的に良い業績を上げている企業に入れ替わるのです。
その頻度は、年4回行われます。
オールカントリーの指数
オールカントリーというと、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が代表的です。連動元は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(通称はACWI)です。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスは、MSCI社が開発した株価指数です。日本を含む先進国および新興国の大型株・中型株(約3,000銘柄)で構成され、世界各国市場の時価総額約85%をカバーしています。
松井証券

4半期ごと、2、5、8,11月に銘柄入れ替えを行っています。出所:MSCI指数ハンドブック
指数メンテナンス
MSCI指数は、対象となる株式市場の変化をタイムリーに反映するために管理される。また、指数のメンテナンスにおいては、継続性・再現性・回転率を最小限にとどめることも重視される。主なメンテナンスは、銘柄の追加・削除、株数の変更、浮動株係数の更新等である。メンテナンスは大きく分けて以下の2つである。クォータリー・インデックス・レビュー(QIR):2月、5月、8月、11月
出所:MSCI指数ハンドブック 11ページ
ライト・リバラシング:QIRの代わりに、一定の条件下ではライト・リバラシングに切り替える。
投資先の比率
米国株(S&P500)の投資先
米国企業の大型株中心の500社に含まれている会社名や大きさは、時価総額や騰落率を視覚的に表現してくれるサイト、finviz(フィンビズ)で確認するのがおすすめです。一目でわかりますね。明るい緑になるにつれ値上がり率が高く、明るい赤になるにつれ値下がり率が高いです。プラスマイナスゼロは黒で表されています。
マス目の大きさは会社の規模(大きさ)を表していて、マスの中央のアルファベット1~4文字が企業名を省略した記号(ティッカー)です。代表的なのは、AAPL(アップル)、MSFT(マイクロソフト)、AMZN(アマゾン)辺りです。
S&P500の騰落(2023/11/18付)

当落率表示の期間を3か月、半年、1年と変えることもできます。

直近、1年に切り替えると以下のようになりました。finviz(フィンビズ)の画面にある、「1Day Performa…」を「1Year Performa…」に変えると切り替わります。

オールカントリーの投資先
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の目論見書をみますと、投資先は、以下のようになっています。

米国 62.3%、日本5.0%、先進国その他21か国 20.2%、中国+台湾 4.8%、新興国その他22か国 5.8%です。米国に次ぐ規模なのが、日本であり、中国+台湾を凌いでいます。
通貨別の分布は以下の通りです。

筆者は、米国ドル66.4%、日本円4.7%、香港ドル2.5%、ニュー台湾ドル1.9%あたりが気になります。
通貨別でみると、アメリカドル>ユーロ>円>中華圏通貨 といった序列になりますね。
直近の運用成績
目論見書から引用しました。
運用開始時期はそれぞれ2018年の7月と10月からであり、運用期間は概ね同じです。
項目 | S&P500 | オルカン |
---|---|---|
投資倍率 | 3.2倍 | 2.6倍 |
純資産総額 | 5.7兆円 | 4.5兆円 |
2つのグラフを見比べても、動きに大きな違いは見られません。オルカンにおいても、米国株の比率が6割を超えているため似通った形になります。
米国株(S&P500)の成績

オールカントリーの成績

S&P500を選ぶ理由
繰り返しになりますが、簡潔にまとめると…
- すでに多くの日本株(TOPIXに連動する投資信託)を所有している。
- オルカンに含まれる投資先の情報が得にくい。
- 中国は成熟期に至っている
- 戦争のリスクが高まっている
では、一つづつ見ていきます。
日本株にはすでに投資している
すでに投資金額比率で10%を超える日本株を所有しています。TOPIXに連動する投資信託で所有しています。
先の資料でオールカントリーに含まれている日本株の比率は、5%です。筆者はそれを上回る比率ですでに日本株を持っていることになります。このまま積立を続けても日本株が5%以下になるのは、ずいぶん先のことでしょう。
もう一つ、日本に住んでいるため日本のことは肌感覚で分かります。日本への投資は、あれこれ調べて、個別株で一喜一憂するのも良いのかな?と考えています。個別株なら株主優待もありますし。
投資先情報は得られるのか?
先進国では当たり前に規制されていることが、新興国ではそうでないことも多く、「ルールを守らない」や「いきなりルール変更」などが発生します。ロシア、中国の独裁国家においてはこれらのルール変更リスクが高まっているといってよいでしょう。
米国と日本の情報は潤沢に得られますが、中国やインドの市場はどうなっているかがよくわかりません。欧州でさえも、戦争による混乱で先行きの不透明感が増しています。筆者は、「わからないものに投資をしてはいけない」を信条にしています。
もちろん新興国の経済発展に期待しておりますが、昨今のグローバル化の逆回転で資本(お金)が新興国に流れ難くなっており、順調に成長するか懐疑的です。筆者はインドや東南アジアが急成長する時期がわりと先になったと考えています。
中国は成熟期に至っている
「日本に対して中国は30年後を追ってきている」と筆者は考えて今の中国を見るようにしています。日本が経済成長した1970~80年台は、中国において2000~10年台に当たるでしょう。日本が停滞した1990年台は、中国では2020年台に当たります。
中国の不動産が低迷しています。日本がかつて経験したバブル崩壊処理のことを照らし合わせると簡単には解決せず、長い時間が必要と考えています。1998年には日本のいくつかの銀行が破綻し、国有化されました。今後、中国で同様のことが起こると思っています。
戦争のリスク
ウクライナで戦争が始まって、中東でも紛争が勃発しました。そして台湾での紛争リスクが高まっています。もちろん、何も起きないことを願っています。しかし、その恐れが高まっただけで、原材料の入手困難、しいては工場の操業停止といった事態に発展するのではないかと危惧しています。
戦争の当事者である、欧州、中東の国々は影響を受けるでしょう。皮肉なことにそれ以外の国は漁夫の利で潤います。アメリカと日本はうまく紛争をかわすのではないかとの筆者の個人的な判断のもと、S&P500とTOPIXに投資しています。
※筆者が信頼できると判断した情報および資料等に基づいておりますが、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。また、作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。これらの情報によって生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いかねます。
おススメの本
未来は誰にもわかりません。
しかし今を理解するなら以下の本が参考になります。
<自由世界は、独裁体制に勝利しなければならない。>
アメリカのポンペオ国務長官は、カリフォルニア州のニクソン大統領図書館で、このように宣言しました。
これは、 「中国共産党打倒宣言」 と考えて、間違いありません。
意識するしないにかかわらず、私たちは「米中覇権戦争」の時代に生きています。
日本は、世界で何が起こっているのかを正確に知り、「戦勝国」として、この時代を通過していかなければなりません。
どうすれば、日本は「戦勝国」になれるのでしょうか?
答えは、この本の中にあります。