生命保険をかける必要がある人はどんな人か~死亡保険を見直ししよう
自分自身が死亡したときに支払われる死亡保険は、どんな場合に必要になるのかを考えてみました。
シンプルな考え方として、自分自身が死亡して「誰かがお金で困らないなら保険は必要ない」だろうなと。
検討の結果、自分が結婚して子供が生まれるまでは必要が無く、その先、子供が自立したら不要になると思いました。子供が自立した今は、保険を解約して違ったお金の活用(投資、貯蓄)に切り替えています。

死亡保険(定期保険)とは
いわゆる掛け捨て保険です。支払った保険金は帰ってきませんが、最も安い掛け金で保障を契約することが出来ます。
公的な保障では賄えない分を最小の負担で補うには、これ一択です。
掛け捨てではもったいないとする向きもありますが、最もお金が必要な子育ての時期に高額な保険代を支払うことは困難です。
もし、自分自身が死んでも金銭的に困る人がいない場合、たとえば「子供がいない」、「子供が自立している」とき、保険は不要です。
そして「十分な貯金がある」、「配偶者の収入が見込める」、「(親族の)遺産相続の当てがある」ときも、保険は不要です。
子供にかかるお金はいくら?
小さいお子さんがいる家庭の方は、万が一があったとき、その先の学費、生活費、保育費を考えると公的な補償では足りない場合が出てきます。
現在、小学校、中学校、高校(私立を含む)までの授業料は無償、もしくは、ほぼ無償になっていますが、大学の授業料、これに加えて受験料、入学金は将来必要です。
概ね、私立4年間で900万円(理系)、アパート暮らしで生活費の仕送りとなるとプラス600万円かかります。
「子供の人数」×1500万円くらいのお金が必要です。

すでに2~3,000万円の貯金や収入の充てがある方は保険不要です。保険は「足りない分を補う」が基本です。
お金を受け取ることが出来る公的補償は
自分自身が死亡したときにお金をもらえる代表的な公的補償として遺族年金があります。
条件:子が18歳になった年度の3月31日まで
条件を満たす子供の人数 | 支給額(年) |
1人 | 1,058,000円 |
2人 | 1,285,600円 |
3人 | 1,363,900円 |
上記の「遺族年金」と「配偶者の給与」で生活することになります。
それでも不足しがちな大学の学費を死亡保険で賄えばいいと考えます。子供が2人いる場合は2,000万円の掛け金であれば概ね足りると思われます。
保険の掛け金は若年者の方が安い
被保険者の年齢によって保険の掛け金が変わってきます。高齢であれば高額になります。
若いうちに結婚して生まれた子供は、親が高齢になる前に社会人になるため、高齢時に生まれた子供に比べて保険料が安く済みます。
各々、事情ってものがあるので簡単ではありませんが。
以下の表は、2,000万円の定期保険の掛け金です。掛け金は10年ごとに更新するものとします。したがって10年ごとに月の支払額は高額になっていきます。
生まれてから22年で子供が自立すると考えて計算するとし、親が20歳の時に契約すると22年間で50万円、40歳に契約すると22年間で200万円弱の支払いになります。
その差額は150万円ほどになります。

年齢(男性) | 保険の掛け金(月) | 22年間の総支払額 |
20歳 | 1,600円 | 506,400円 |
30歳 | 1,900円 | 876,000円 |
40歳 | 3,600円 | 1,992,000円 |
50歳 | 9,000円 | – |
60歳 | 20,000円 | – |
年齢(女性) | 保険の掛け金(月) | 22年間の総支払額 |
20歳 | 900円 | 352,800円 |
30歳 | 1,500円 | 648,000円 |
40歳 | 2,700円 | 1,284,000円 |
50歳 | 6,000円 | – |
60歳 | 10,000円 | – |
終身保険は得にならないことが多い
掛け捨てではない終身保険という選択の場合、保険料が高額になります。
保険会社に支払わず、そのお金を自分で運用した方が得になるかもしれないと考えてみましょう。
満期でも殖えるわけではない
以下の例は、60歳で払い込みが完了し、死亡時に1,000万円が支払われる保険の概要です。総支払額が限りなく1,000万円に近くなり、利益率を計算するとマイナスになっています。
契約年齢 | 保険の掛け金(月) | 総支払額 |
20歳 | 22,000円 | 10,080,000円 |
30歳 | 28,000円 | 10,080,000円 |
40歳 | 42,000円 | 10,080,000円 |
50歳 | 82,000円 | 10,080,000円 |
しかも、60歳になったからと言ってもらえるわけでなく、自分が死亡しないともらえません。60歳前に死亡すればお得になるとはいえ、モヤモヤな気持ちになります。
若いうちから始めてもそれほどお得になったりしません。むしろ、子供が小さい頃は何かと物入りですので、若年者にはあまり向かないと筆者は思います。
※死亡前に途中解約すれば手数料を差し引かれた残額を受け取れます。
日本人65歳までの生存率は 男で89.5%、女で94.5%
厚生労働省のホームページに「令和5年簡易生命表の概況」が公表されています。表3の令和5年/65歳の項を見ると、男で89.5%、女で94.4%が生存することになります。
表現を変えると、この終身保険は、男で89.5%、女で94.4%の方が損をすると言うことになります。

まとめ
- 子供が生まれたとき、まとまった貯金がないなら定期保険を考慮しましょう。
- 子供がいる場合以外では、死亡保険は必要ないと筆者は考えます。
- まとまった貯金がある場合は、保険は不要です。足りない分を補うのが保険です。
- 終身保険はお得ではないものが多い。契約するときは総支払額を計算してよく考えてからにしましょう。
[blr]