オルカン(除くアメリカ)指数からS&P500との比較を試みる
ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)からアメリカを除いた指数「MSCI ACWI ex USA Index」を見て、オルカンとS&P500の比較を試みます。「MSCI ACWI ex USA Index」は、「ACWI」 (先進国23か国+新興国24か国)の指数からアメリカを抜いた46か国の指数です。
ここでの結論は2008年末~2023年末において以下の通りです。
- オルカン内の新興国のパフォーマンスは先進国より劣る。
- オルカン内のアメリカに対し先進国23か国(アメリカ含む)のパフォーマンスは35%劣る。
- オルカン内のアメリカに対し先進国22か国+新興国24か国のパフォーマンスは69%劣る。
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時系列推移
まずは、「MSCI ACWI ex USA Index」の推移と「ACWI」、「MSCI World」を時系列(累積)で比較します。「ACWI」はオルカンが指標としている指数です。「MSCI World」とは先進国23か国の指数のことです。
このグラフは、2008年末から2023年末までの推移を表しています。「アメリカを抜いた先進国22か国+新興国24か国」では、アメリカ込みの47か国「ACWI」に対し、約49%劣後しています。

また、このグラフからは「ACWI」に対し「MSCI World」の方がパフォーマンスが上であることが示されています。これは「ACWI」内の新興国24か国のパフォーマンスが「MSCI World」先進国23か国より劣っていたことを示しています。端的に言うと「ACWIに含まれている新興国」は足を引っ張っていたことになります。
2009年からと言いますと「中国や韓国は日本を追い越した」などと主張をされており、調子が良かったかのように感じていますが、オルカンのパフォーマンスにはそれほど影響を与えていなかったようです。


ACWIに含まれるアメリカ株のパフォーマンス
数多あるMSCI指数の中に「MSCI USA Index(USD)」という指数があります。これは米国市場の大型株と中型株609社の加重平均であり、浮動株調整後の時価総額の約85% をカバーしています。
この定義は「ACWI」の定義と一致しており、「ACWI」に含まれるアメリカの内訳とほぼ同じとみて差し支えないと思われます。

このグラフも傾向は同じですが、より直接的にアメリカが好調であったことが示されています。
指標 | 国の内訳 |
---|---|
MSCI USA | アメリカのみ |
MSCI World | アメリカを含む先進国23か国 |
MSCI ACWI | アメリカを含む先進国23か国と新興国24か国 |
「アメリカ抜きのACWI」は185.26上昇しています。
「MSCI アメリカ」は614.49上昇しています。
「MSCI World:先進国23か国」は398.59上昇しています。
分かりにくいですが起点は100です。
「アメリカのみ」に対し「アメリカ抜きのACWI」は7割弱劣っています。「先進国23か国(アメリカ含む)」は35%劣っています。いかにアメリカが時価総額(資本)比で効率的に稼いでいるかが分かります。
MSCI USA Index(プライス)とS&P500の比較
「MSCI USA Index」と「S&P500 Index」は別々の指数です。この2つにどの程度の違いがあるか確認しました。両方とも大・中型株で構成している指数なので同じになるような気がしていましたが、一部相違がみられました。
履歴データー入手先
ACWI USA Indexの時系列データーをinvesting.comから入手しました。
S&P500の時系列データーをStooqから入手しました。
共に配当を含まない指数を使っています。

MSCI USAの線を少し太く表示させています。2020~2021年の間で少々相違がみられます。理由は分かりませんでした。直近は同等の数値になっているので考察の際は同じと捉えても差し支えないようです。
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